第2章 全国チェーン化を目論む企業
4.ピーターパン
SCやDSの近年の郊外進出には目を見張るものがあるが、それらのいずれの店を見ても必ず飲食エリアがあり、買い物客や子供たちが軽食をほおばる姿がある。特に郊外においては、マイカーを使って買い物にくる客が多く、ひと休みのつもりでこの飲食エリアに集まってくるのだろう。こういった状況を踏まえた上でセンター内、ストア内に出店し、売り上げを伸ばしているのが「ピーターパン(本社相模原市、社長中野秀司氏)」である。「ピーターパン」は和風FFを中心に手軽に食べられる軽食系のメニューを20アイテム(フードメニュー)揃え、幅広い年代の客層をつかんでいるのだ。
同社は`77年のスタート以来、神奈川、三多摩、千葉、埼玉など関東一円を中心に、現在直営36店、FC18店の合計54店舗を展開している。ヒットメニューは「フレッシュおこのみ(230円)」や「ミートおこのみ(250円)」「チーズおこのみ(270円)」など。おやつ感覚でハンバーカーのように手でつかんで食べられるスタイルが、まず中高生などの若者から、主婦層まで抵抗なく受け入れられた。
既存店ペースでみても、平均3〜4%の伸びをみせており、東大和店では日曜、祭日で1日に1,500枚近く売るという。「食堂は1人の客、もしくはワンセットの料理に数皿必要です。器の上げ下げに人手が要りますし、洗い物にも手がかかります。その店FFは洗い物もごくわずかですし、若い方々が自由な感覚で気軽に食べることができます。」と語るのは、`90年4月1日に武蔵村山店をFCとしてオープンさせた指田吉男氏(53歳)である。客単価は420円。オープン月の月商は1,700万円だという。
新規SC計画の折りには、出店の誘いも多い。どういう形で提供するのであれ、今やFFスタイルのお好み焼きはSC内飲食街の定番ショップである。大店法の規制もなくなり、これからはますます全国的に市場を広げるであろう。