第2章  全国チェーンを目論む企業

3.大阪フード(ぼてぢゅう)



 全国的に知名度の高い「ぼてぢゅう」のそもそもの創業者は西野 勝氏で、1946年6月、大阪市西成区玉出で創業した。その後紆余曲折を経て、現在3社がぼてぢゅうを名乗る。「ぼてぢゅう」「総ぼて(ぼてぢゅう総本家)」「大阪ぼてぢゅう」である。

 そのうち全国規模で展開する老舗チェーンは、大阪フードひきいる「ぼてぢゅう(本社大阪市、社長北村貞次氏)」。かつて九州に出店したこともある、お好み焼き業界唯一の「全国ブランド」だ。

 総本店を大阪ミナミの道頓堀に置き、1962年の創業以来、今や札幌から岡山まで46店舗をチェーン展開するにいたった。かつてはハワイでも店を出していた。札幌から関東方面は(株)東京フード、名古屋、岐阜、金沢は(株)名古屋フード、関西以西は(株)大阪フードの管轄下になっている。全店を合わせた年商は30億円を突破するという。

 ビックマーケット、東京にお好み焼き店を普及させたのも「ぼてぢゅう」の力が大きい。`66年渋谷東急地下に進出して以来、`86年には京王聖蹟桜ヶ丘にオープンし、大阪の店舗数よりも東京への出店数が多いほどである。

 業界関係者からは「もう古い。『ぼてぢゅう』の時代は終わった。」といった発言がある一方で、「最近、非常に丁寧な店作りが成功している。」との評価の声も聞かれる。「ぼてぢゅう」の店舗を年々華麗に変身させ、全体としてイメージを徐々に底上げしていく。一方、メニューは従来価格を据え置き、客単価800円〜1,000円と、あくまで大衆価格を維持するのが、当面の「ぼてぢゅう」の静かなる成長戦略である。