第2章 全国チェーンを目論む企業
はっきりと全国展開への進軍ラッパを鳴らすのは、`81年12月に1号店を出して以来、7年で約80店と最大のお好み焼きチェーンにのし上がった「とうりゃんせフードシステム(本社大阪市、社長吉元弘義氏)」である。
同社はすでに`88年11月に「ロイヤルとうりゃんせ青山店(FC)」、12月には「ロイヤルとうりゃんせ渋谷店(直営)」と、首都圏1、2号店を相次いでオープンしている。また`86年10月にはサンフランシスコに70坪の海外第1号店をオープンさせ、以降も海外FC展開している。
カジュアル型の「とうりゃんせ」を中心に、ディナー型の「ロイヤルとうりゃんせ」、郊外型の「ファミリーとうりゃんせ」、テイクアウト型の「イカグルメ」などの複数形態を開発、お好み焼きとしての可能性をあらゆる方向で追求している。
とうりゃんせはテイクアウト型を除き、そのほとんどがお客が自分で約DIY型。「イカグルメ」や「とうりゃんせ」は中高生を含め若い女性客が多く、客単価は600〜800円。そのためか「とうりゃんせ」では、12種類から好みで6種類チョイスできる「ひと口焼き」といった、若い女性の心理に十分訴えられるアイデアメニューが多い。同時に洋風のチーズ、コーン、ピザ風などもグランドメニューに揃えている。
「ロイヤルとうりゃんせ」になると、客単価は1,500円〜2,000円程度にハネ上がるが、ちょっとシャレた店作りはデートコースとしても人気がある。食材、器、鉄板、ガスバーナーまですべてオリジナルで、材料から焼き上がりまでの品質、オペレーション構成がすべてマニュアル化されている。
3種類のオリジナルソースをはじめ、マヨネーズ、天かす、コンニャクなどもすべて独自の特注品。それでも客が焼く以上、誰にでもある程度の味が維持できるようなシステムを運用している。
食材は1次加工済み、配合済みの粉は1kg詰めパックで、混ぜる摺りおろした生のヤマイモも真空パックで供給される。厨房には保冷機能付き台に具などを入れたホテルパンが並び、従業員はラインに沿って移動しながら指示通りに盛りつけていくだけ。初心者でも3日あれば30秒でセットできるようになるという。
お客が自分で焼くメニューが主体だから店舗要員のアルバイト比率は高く、人件費を抑えられる。その代わり、お客でもおいしく焼けるよう、粉は薄力粉の超一等粉、豚肉は鹿児島の黒豚を使うなど素材は厳選しているという。